“錯覚に気づく力”が組織を強くする

制度を整え、評価も導入した。研修も行っている──。
それなのに、なぜか人が育たない、組織が動かない…。
そんな違和感を抱えたまま、日々を走っていませんか?

今回は、組織づくりにおいて見落とされがちな「錯覚に気づく力」についてお話しします。

組織を変える鍵は、「錯覚に気づく力」

結論からお伝えすると、いまの組織づくりにおいて本当に求められているのは、
制度や仕組みの前に、“錯覚に気づく力”です。

人は「伝えたつもり」「できているはず」といった“わかっているつもり”に陥りがちです。
でも実際には、評価制度がうまく活用されていなかったり、現場の声が上層部に届いていなかったりと、目に見えないズレが多くの組織に存在しています。

このズレの正体は、“思い込み”や“無自覚な錯覚”。
組織がうまく機能しない原因は、制度そのものではなく、それを「できている」と信じて疑わない認識のズレにあるのかもしれません。

「正しいこと」が、組織の成長を妨げる?

「制度を整えれば、人は育つ」
「評価項目を作れば、納得感が生まれる」
「目標を立てれば、社員は動く」

これらは、一見“正しい”ように見える考え方です。
でも現場では、「評価が目的になっている」「項目はあるのに行動が変わらない」という声がよく聞かれます。

この違和感の背景には、制度に過剰な期待をしてしまう錯覚があります。
制度はあくまで“道具”であり、それを活かすのは関わる人間そのもの。
だからこそ、制度よりも先に「現場でどう機能しているか」を問い直すことが必要なのです。

よくある“思い込み”が、停滞のサインかもしれない

実際のご支援の中で、こんな声を聞くことがあります。

  • 「リーダーに昇格させれば、マネジメント力がつく」
  • 「忙しいから“できる人”に任せた方が早い」
  • 「言わなくても伝わっているはず」

…でも、どれも現場ではうまくいっていないケースが多いのです。
これらの“思い込み”は、無意識のうちに組織の流れを止めてしまう要因になっています。

人は誰でも、自分の見方が「普通」だと思いがちです。
でもその“普通”こそが、実はズレのもと。
「これって本当に伝わってる?」「今のやり方、まだ合ってる?」と問い直す力が、変化の第一歩になります。

「問い直す文化」が、変化に強い組織をつくる

変化のスピードが増すいま、組織に必要なのは“正しさを貫く力”ではなく、
「問い直し続ける力」です。

  • 「制度やルールを、今の現場に合うように柔軟に見直す」
  • 「上からの視点と、現場の声のギャップを可視化する」
  • 「“こうあるべき”にとらわれず、対話しながら形を変えていく」

こうした柔軟さのある組織ほど、離職が減り、社員が育ち、成果につながっています。
“錯覚に気づく力”を持てるかどうかが、適応力と未来を左右するカギです。

「気づく力」がある組織は、人が育ち、経営が前に進む

制度を導入したのに育たない、
対話しているつもりなのにすれ違う、
頑張っているのに伝わらない──。

こうした問題の多くは、「仕組みの不備」ではなく、“見えていなかった思い込み”に原因があることが少なくありません。

だからこそ、必要なのは「制度」ではなく「気づく力」です。
そしてその力は、「問い直す姿勢」から育っていきます。

キャリエールでは、制度や評価の設計といった仕組みの提供だけでなく、
その制度が現場で“活きているか”までを一緒に伴走し、支援しています。

組織をつくるのは「制度」ではなく「人」。
そして人を動かすのは、「錯覚に気づいたあとの行動」です。

これからの時代にこそ、気づく力を持つ組織が、未来を切り拓いていくのだと思います。


執筆:吉田 理恵
キャリエール代表/戦略人事パートナー
中小企業の現職者育成と組織づくりを支援する“社外おかあさん”として、評価制度・人材育成・メンタルヘルスまで幅広く伴走しています。

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