残業に”キャンセル界隈”を当てはめていいの?

最近、よく目にする「残業キャンセル界隈」という言葉。
新しい表現がどんどん生まれているように感じます。

この言葉のウラにはどんな問題があるのか、考えてみました。

 

結論:問題は「残業」ではなく、仕事と責任の設計不全。

 

「残業キャンセル界隈」が問題というより、
やるべき仕事をやらなくても許される空気が、
組織の中に生まれてしまっていること
ではないでしょうか

 

残業をしない選択そのものは、働く側の権利なのかもしれません。
しかしそれが「面倒だからやらない」「言われなければやらなくていい」という空気と結びついた瞬間、意味合いは大きく変わります。
それは働き方改革でも、健全な価値観の変化でもありません。

経営者がここで向き合うべきなのは、
「残業する・しない」ではなく、
どこまでが仕事で、誰が、何に責任を持つのかを、会社として設計できているか

そもそも「キャンセル界隈」とは何か

「キャンセル界隈」という言葉は、もともと若者言葉です。
本来やるべき、あるいは日常的にやっている行動を、
「面倒だから」「今日は気分じゃないから」といった理由でやめること、
またはそれを共感し合う人たちの集まりや、その行動そのものを指します。

代表例が「風呂キャンセル界隈」。
お風呂に入らない、きちんと食事をしない、外出しない、など。
それらをあえて「キャンセル」と表現し、SNSで笑いや共感として共有する文化です。

この文脈を踏まえて、

「残業キャンセル」という言葉が含んでいる意味はどのようなものでしょうか?
それは単なる定時退社の選択ではなく、
本来やるべきとされてきた行為を、その時の気分や負担感を理由にやめるというニュアンスを含んでいます。

この言葉を仕事に当てはめたとき、
ん、、、それは違うのでは?と違和感を感じてしまいました。

残業は業務命令であり、自由にキャンセルできるものではない

ここは感情論は一旦置いて、事実として整理すると、

残業は、原則として会社の「業務命令」に基づいて行われるものです。
36協定の範囲内であれば、会社は業務上の必要性に応じて残業を命じることができます。

つまり、
「今日は残業したくないから帰ります」という意思表示が、
常に正当化されるわけではありません。

正当な理由なく、業務命令を拒否し続ければ、
業務命令違反と評価され、懲戒対象になり得る、という考え方があるのも事実です。

だからといって
「残業しなさい」「文句を言うな」という話ではなくて、、、
《残業キャンセル=個人の権利》とだけ語るのは、
労働契約や組織運営の現実を見落としている可能性があるということです。

それでも会社が問われる理由

では、「残業キャンセル界隈」という言葉が広がる背景は、
どのようなものでしょうか?

多くの現場で、次のような状況が重なっています。

・仕事の優先順位が曖昧
・どこまでやれば「終わり」なのか分からない
・役割や責任の範囲が不明確
・管理職がハラスメントを恐れて注意できない

結果として、
「やらなくても何も言われない」
「言われないなら、やらなくていい」
という空気が生まれやすくなります。

残業キャンセルが起きない組織をつくるために

これを、組織の問題に捉えると、
仕事と責任を言語化することが必要なのかもしれません。

・その仕事は、なぜ今日やる必要があるのか
・終わりの基準はどこか
・残業が必要なケースと、不要なケースを区別できているか
・成果と時間の関係を共有できているか

重要なのは、残業があるかどうかではなく、
「何をどこまで終わらせる責任があるのか」が共有されているかです。

そして「残業キャンセル界隈」という言葉は、
会社に向かって宣言されているわけではなく、
多くの場合、
「今日は残業キャンセル界隈だ」と
個人の感覚としてSNSなどで共有され、
「わかる」「私も」と共感が広がっているだけのように感じます。

会社側は、
キャンセルされたことに気づいていない。
そして、誰かが静かに負担を引き受けている。

「残業キャンセル界隈」という言葉。

それは社員の問題、会社の問題というより、
仕事と責任の境界線が見えなくなっているサインではないでしょうか?

嘆く前に、責める前に、
仕事と責任を、言葉で設計できているか。
向き合うべき問いは、そこかもしれません。

 

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